まだ故障として認識するまでの不調には至ってはいないものの、放っておけばいづれ愛車の大きなトラブルに繋がるちょっとした予兆があります。漫然と運転していては気づかないことも多いこれらの事象については知っていれば気付くこともあります。知っているからこそ気付くとも言えます。走っていても、停まっていても何らかのシグナルを愛車が発しています。五感を研ぎ澄まして、このシグナルを受け取りましょう。早めの処置による低コストで愛車を維持するのが永く乗り続けるコツでもあります。
甘い匂いといえば・・・LLC(ロングライフクーラント)ですね。ラジエターからエンジンまでグルグル回っている不凍の冷却水。成分はエチレングリコールで引火性のアルコール類です。誤飲すると中毒を引き起こします。赤や緑に着色されているので、漏れていると分かりやすいですね。
車で甘いニオイがしたらLLCの匂いしかありません。問題はどこから匂うかが修理費用に大きく関わります。排気ガスが臭うなら、エンジンヘッドのガスケットが劣化して内部に漏れている可能性が高いです。オーバーヒートを起こしたことがある車ならなおさら歪みが生じてLLCが内部に入り込んでいる可能性があります。いづれにしてエンジン最上部とはいえ分解が必要になるので、修理費用は掛かります。
車内で甘い匂いがする時に、助手席側のフロントガラス内側が曇っていたら、ヒーターコアから漏れている可能性があります。ヒーターコアはエアコンの冷温風を切り替える箱の中にある熱交換器です。エンジンの熱を奪って自身が熱くなったLLCの一部がヒーターコアに周ってきます。このヒーターコアは小さなラジエターのようなもので細かいフィンのある繊細な仕組みの熱交換器ですので、腐食したりして、漏れが生じたりします。車によっては非常に厄介な場所に設置されていたりすることも多いです。車内側インパネを全てバラすか、エンジン側から分解できるかによって工程が変わります。どちらにせよ修理作業はかなりの作業工数になり、修理金額も跳ね上がります。あまり壊れてほしくないパーツですが、デフロスター(曇り止め)の不調に繋がり車検項目にもあるので、放置というわけにはいかないのです。
エンジンフードを開けた時、甘い匂いがするならば、ラジエターホースやその他冷却水配管などじっくり探すと漏れが見つかる可能性があります。修理費用も見積もりが出やすい修理でしょう。
その他、見落としがちな盲点としてラジエターキャップからの蒸気漏れがあります。ラジエターキャップは消耗品です。劣化すると規定圧に耐えられなくなるので、この点は頭に入れておきましょう。
LLCは基本的に原液で注入するものです。外出先で冷却水不足に気がついて緊急で入れるときは精製水を入れることもありますが、あくまで応急処置です。後日必ずLLCの交換をしておかないと錆の発生から重大なトラブルにつながりますので注意が必要です。また最近の車にはスーパーLLCという超長寿命のクーラントが使われていたりするので自分の車の純正仕様は確認しておきましょう。
ガソリンは恐ろしく引火しやすい危険物なのです。ガソリンの漏れ・ニオイは引火、爆発の危険が迫っていると考えてください。
排気ガスのガソリン臭は点火系異常による生ガスの排出の可能性があります。バックファイアを起こすこともあり、爆発する場所によっては排気管が割れたりすることもあります。また触媒が壊れるとこれもまた修理費用の高い部品なので、早急に対処する必要があります。不完全燃焼による一酸化炭素が発生することもあります。死亡事故になりうる故障でもあることも知っておきたいところです。
ゴムのような、金属のようななんとも判断し難いニオイがタイヤ周りからするときはブレーキの引きずりが考えられます。坂道が多い道路や市街地などの走行中はブレーキパッドはかなり熱くなります。修理工場での整備直後のニオイは余分なグリスが焼けた時の匂いですのであまり気にしなくてもすぐになくなるでしょう。
しばらく乗っていない車両などではブレーキが固着しているかもしれません。パッドがローターに接触したままで走行すると、パッドが焼けてブレーキ周辺部品はかなりの高温になります。様々なパーツが高温になることで、この時は色々な匂いが混じった複雑な異臭がします。場合によってはタイヤ付近から煙が立ち上ることもあります。この場合はブレーキの分解整備が必要です。おそらくピストンなどの不具合ですので、走っても自然に回復することはありません。早急に修理に出しましょう。
ブレーキで左右どちらかに寄って行ってしまうのは、まずブレーキの片効きが考えられます。寄っていく反対側のブレーキが効いていないのかもしれません。ピストンの押し出しが渋く、ブレーキパッドの残量が違っていたら、分解整備が必要ですね。またブレーキ配管にエアが噛んでいることも原因としては考えられます。
ブレーキ以外でも、タイヤの偏摩耗で片側にハンドルを取られることがあります。この場合、まずタイヤの溝のチェックをしましょう。空気圧も確認します。空気圧が左右で極端に違いがあれば、片側の抵抗が増して、左右に寄ることもあります。
また空気圧が正常なのに、タイヤが偏摩耗している場合は、ホイールアライメントが狂っていることが考えられます。自分で修正することはできないので、車屋に持っていくか、運輸局近くに多くあるテスター屋さんに行きましょう。タイヤを幅広や扁平率の低い(薄いタイヤ)などに交換していると、アスファルト道路の轍などでもハンドルを取られることがあります。この場合もホイールアライメントの修正が必要です。
走行中ハンドルがブルブル振動することがあります。高速走行時に発生するとかなり怖い現象です。経験的にはホイールのちょっとした歪みが原因だったことがあります。純正のスチールホイールでしたが、店に入るために斜めに歩道のわずかな段差に乗ったときに歪んだようです。タイヤを含めたホイールの芯が出ていない場合やナットの締め付けが悪い場合もあります。ショップで確認してもらいましょう。
ブレーキを踏んだときにペダルがブルブル振動することがあります。ブレーキジャダーという現象です。これはおそらくブレーキローターの異常です。錆や異常加熱など原因を突き止める必要がありますが、ローターの再研磨によって解消するでしょう。
フロント下を覗いてみると、棒が何本も通っています。ステアリングリンケージとかタイロッドエンドとかそういった部品です。各部が先端付近で繋がれていますが、そこにボールジョイントという部品が隠れています。本来はグリスで満たされている部品ですが、ゴムカバーの破れなどでグリスが流れてしまうと、錆びます。動きは渋くなり、極度の摩耗の原因になります。この状態になるとハンドルをフルに切った時などにゴリゴリと音がします。音がしない範囲では当然ハンドル切れ角が小さくなるので大回りの車になってしまいます。アメ車には非常に多いトラブルですね。
ブレーキを踏むとキーキーとうるさい音がする。振動によるブレーキの鳴きという現象もありますが、ブレーキパッドは限界厚みまで減るとブレーキパッドが鳴るように設計されています。坂道や高速道路でも頻繁にブレーキを踏むドライバーがいますね。こういう車は早くパッドがすり減るので限界まで減るのが早いです。これはもちろんパッドを交換すれば簡単に直ります。自分でもできる交換ですが、整備工場でパッドだけでなくローターなども点検してもらうといいでしょう。
特定の車種だけに特異的に発生するトラブルというのがあります。これはリコールにはなっていないけれど、設計上・構造上の原因によって発生するトラブルです。
よくあるのはフロントガラス下側から流れ落ちる雨の経路が設計通りにいかず、エンジンルーム内部の特定の場所に常に流れ落ちることで部品を劣化させるなどのトラブルがあります。こういった原因を見つけられない場合は、何度新品の部品に交換してもしばらくして同じ症状が生じるのです。
なぜそのトラブルが発生したのかという原因の追及もきちんとしてくれる整備工場が良い車屋です。ディーラーが一番良いということもありません。経営者の姿勢の問題だからです。普段からそんな良いショップと付き合えるように情報を集めておきましょうね。
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