エンジン回転数が高すぎるか低すぎるかあるいはユラユラして安定しない。この故障はとてもとてもとても多いです。低いので踏み込むとストールしてエンストしてしまう。高すぎてどんどん走っていってしまう。回転が不安定で信号待ちの時にはハラハラする。国産車でこんな不具合になったことがないのに、アメ車は多いのです。
原因は本当はものすごくたくさん考えられるのですが、あえてひとつだけ部品を交換してみようというならIACバルブを最初に純正新品にしてしまいたいと思います。もちろんプロはこんな乱暴な診断と修理はしませんね。
IACバルブというのはアイドル・エア・コントロール バルブの略です。そのものズバリアイドリングのための流入空気量を調整する部品です。メーカーによって名称が少し違いますが、クライスラーではIACバルブです。エンジンの真上にスロットルボディというキャブレターのような雰囲気のものが乗っています。それには直接エアクリーナーが接続されているので間違えることはありません。スロットルボディに横から挿さっている部品のひとつがIACバルブです。(言い忘れましたが、これはインジェクションタイプの車の場合です。キャブ車にはありません。)
このIACバルブはキノコのような棒が伸縮して空気穴を広げたり狭めたりして空気流入量を調整しています。つまりキノコ棒の動きが悪いとアイドリング不調の原因となりやすいということです。汚れで真っ黒になってスムーズに動かないことがよくあります。
IACバルブを交換する前に必ず、バッテリーのマイナス端子を外しておきます。電装部品を触るときは必ずこの端子を外すことを忘れないでください。うっかりショートさせる原因になります。他の修理までしなければならなくなりますよ。
IACバルブの交換は簡単です。古いのを外して、新しいのをはめるだけです。新品に新しいOリングが付属していれば一緒に交換します。変形・傷がなければ古いのでも大丈夫でしょう。コネクタは確実に奥まで押し込んで接続します。取り付けは規定の締め付けトルクがあるのですが、仕様書がないと分からないので感覚でいきます。締めすぎないように注意をして均等に締めます。
これはDodgeの317ci エンジンの車内側です。このHollyのスロットルボディの上に大きなエアクリーナーケースが乗ります。
赤色印がIACバルブです。青色印はTPS(スロットル・ポジション・センサー)
黄色印はボディの向こう下で見えませんがMAPセンサー(マニホールド・絶対圧力センサー)があります。
このIACバルブを交換するだけで調子を取り戻したら、ラッキーじゃないですか。交換後は車のコンピュータが学習するのでしばらく走らせて調子をみます。新品に交換しても症状が改善されない時は他の原因を探る必要があります。そんな時の対応も今後、記事にしていきたいと思います。
ただし車種年式の違いなど場合によっては何かコンピュータにアクセスして調節する必要があるかもしれません。この時はアメ車屋に行って説明した方がいいかもしれませんが、大概はそのままでやがてアイドリングが自然と落ち着いてきます。
317ci(317キュービックインチと読みます)は5200ccです。アメ車の場合、インチで計算するのでこうなります。車名にくっ付いている数字ですね。(1インチ)2.54cmの3乗=16.39cm3=1ci (1立法インチ)で計算すれば分かります。
350ci→5700cc
427ci→7000cc
427コブラがあの小さな車体に7000ccのエンジンを乗せているというだけでどれだけの怪物なのか想像できますね。
アスタルエゴ!(またね!)
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